Archive for category アナログディスク再生

Date: 6月 19th, 2014
Cate: アナログディスク再生

電子制御という夢(その4)

ソニーは電子制御のトーンアーム技術にバイオ・トレーサーと名称をつけていた。
ステレオサウンド 49号に掲載されたPS-B80の広告のキャッチコピーは、こう書いてあった。
     *
スタティックバランスアームの黄金時代は、もう10数年も続いてきました。
しかし──
5つの、「電子の眼」を持ち、128ワード×4ビットの「電子頭脳」を持ち、
垂直・水平ふたつのリニアモーターで駆動する電子制御アームの出現は、
ひょっとしたら、流れを変えてしまうかも知れません。
     *
トーンアームの透視図も載っていた。
とはいっても、この透視図を見ても、具体的にどういう仕組みになっているのかを完全に理解するのは無理だったし、
これだけでは、ソニーのバイオ・トレーサーがどの程度の可能性をもつ技術なのかも判断もできなかった。

それでも、とにかく新しい技術が登場してきたことはわかるし、
少しでも理解したい、とは思っていた。

ただPS-B80に搭載されていた電子制御トーンアームは、新しい形とはいえなかった。
試作品がそのまま登場してきたような仕上りだった。

パイプ部とヘッドシェルに関しては通常のトーンアームと同じ。
軸受けまわりがずいぶんと違う。
PS-B80は超軽の金属ケースからアームパイプが出ている。

この長方形の金属ケース内にセンサーや垂直・水平のリニアモーターが内蔵されているわけだが、
それにしても大きい、と感じさせる。

Date: 6月 19th, 2014
Cate: アナログディスク再生

電子制御という夢(その3)

ソニーのPS-B80について、新製品のページを担当されていた井上先生は、
未来指向のアイデア豊かな製品ということで興味深いと思います、と、
山中先生は、
実際に使ってみると大変ユニークで、
ある面ではこれからのトーンアーム、フルオートプレーヤーとしての一つのあり方を示していると思います、
とそれぞれ語られている。

ここだけ読めば評価されているのかと思えるのだが、
この発言に続いて同時期の新製品、パイオニアのExclusive P3について語られているのを読むと、
そうも思えないところもあった。

井上先生は、
エレクトロニクス・コントロールでいくら努力しても、やはり基本的なメカニズムがしっかりしていないと、
どっしりと腰のすわった音を出すことが難しいということをはっきりと示しています、と、
山中先生はメカニズムが基本であり、全てであるということを改めて考えさせられる製品です、と発言されている。

ここでのメカニズムは主に回転系のことを指しているわけだが、
トーンアームも含めて、というふうにも読める。

PS-B80については井上先生が紹介記事を書かれているけれど、
音については触れられず、機能解説であった。

そうでなくともアナログプレーヤーはメカニズムが肝心と思っていた私は、
PS-B80を聴いてみたいとは思わなかった。

Date: 6月 19th, 2014
Cate: アナログディスク再生

電子制御という夢(その2)

電子制御トーンアームはあった。
B&Oのリニアトラッキングアーム搭載のアナログプレーヤー、Beogram4002、6000などがそうである。
電子制御によってリニアトラッキングアームを実現している。

ここで書きたいのは1980年前後から国産のアナログプレーヤーに採用されはじめた電子制御である。
ソニーのPS-B80(200000円)、ビクターのQL-Y5(69800円)、QL-Y7(96000円)、
これらが早くに電子制御のトーンアームを搭載している。

記憶違いでなければソニーのほうが早かった。

その後、デンオンからDP-57M(69800円)、DP57L(79800円)、DP67L(95000円)、
DP100M(960000円)らが登場、
ソニーはローコストモデルにも電子制御トーンアームを搭載するようになり、
ビクターも新製品をいくつか出していた。

これらはすべてリニアトラッキングアームではなく、一般的な弧を描くタイプのトーンアームである。

トーンアームの電子制御に当時最も積極的だったイメージがあるのはソニーである。
少なくともステレオサウンドに載っていた広告を見ていて、私はそう感じていた。

そのソニーのPS-B80がステレオサウンドに載ったのは49号、新製品紹介のページであり、
広告も49号がはじめてである。

Date: 6月 18th, 2014
Cate: アナログディスク再生

電子制御という夢(その1)

アナログプレーヤーの魅力はメカニズムの魅力ともいえる。
電子制御に頼らずに、モーターという駆動源があれば、他に電気を必要としない。
それだけに正確で静粛な回転を得るには、
精度が高くも強度も高いメカニズムが必要になり、そういうものはどうしても高価になってしまう。

ここに電子制御が加われば、メカニズムの精度、強度を落としてもカタログ上のスペックでは、
昔ながらのアナログプレーヤーよりも優れた数値となる。

電子制御によってアナログプレーヤーは大量生産ができるようになった、ともいえる。
そのせいもあって、音のいいプレーヤーとなると、メカニズムのしっかりしたモノということになっている。
私自身も、マイクロの糸ドライヴも使ってきたし、EMTのリムドライヴを愛用してきた。

どちらも回転系に電子制御のかかっていないプレーヤーである。

アレルギーとまではいかないまでも、アナログプレーヤーに電子制御は必要なのか、とずっと思ってきていた。
そういえば、瀬川先生は、ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」で、
DDモーターでもクォーツロックをかけたプレーヤーは、
音がハードになるとか、味もそっけもなくなるという批判が聞かれるようになってきたし、
確かな裏づけはないものの、クォーツロックでないプレーヤーのほうが、
ひと味ちがった音をもっているように思える、と発言されている。

いまでも回転系に電子制御は必要なのか、と思っている。
けれど、アナログプレーヤーで電子制御を取り入れてみたら、どうなるのか、と期待しているのが、トーンアームだ。

Date: 6月 12th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その22)

どういう人ならば、アナログプレーヤーを使いこなしているのか。

キャリアが長い人なのか、
名器といわれるアナログプレーヤーを使っている人なのか、
これまで多くのアナログプレーヤーを使ってきた人なのか、
いくつものカートリッジを持っている人なのか──。

どれもあてにはならない。

キャリアの長い人でも実にいい加減な使い方をしている人はいる。
キャリアが短くともきちんと使っている人もいる。

音がいいといわれているプレーヤーを使っていても、
世評の高いカートリッジをいくつも持っていても、使いこなしのできていない人はいる。
それほど高価なプレーヤーでなくとも、きちんと使いこなしている人だっている。

人さまざまであり、こういう人ならば、アナログプレーヤーを使いこなしているということは、
確実なことは何も言えない。

数年前のインターナショナルオーディオショウでも、
あるオーディオ評論家の人(私よりもひとまわりくらい上)が、あるブースでLPをかけていた。
アナログプレーヤーの操作はそのブースのスタッフにまかせずにやられていたのだが、
そのおぼつかないことといったら──、自覚がないのだろうか。

私は瀬川先生がレコードをかけかえられるところを何度も何度も見詰めてきた。
レコードはこうかけるもの、ということをそこで学んできた。

いま、こういう人がほとんどいないように見受けられる。

Date: 6月 11th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その21)

ゴードン・ガウの言葉を借りるまでもなく、
音の入口にあたるアナログプレーヤーがきちんと設置・調整されていなければ、
システムの調整をやってもうまくいかないことは明白である。

井上先生も何度も、このことは強調されていた。
音をつめていく作業は、音の入口から順にやっていくこと。
つまりアナログプレーヤーをきちんと調整する。
それからアンプ、そしてスピーカーという順にやっていく。

うまく調整がいけば、調整前よりも細かな音の違いがより明瞭に聴こえるようになる。
だからまた音の入口のアナログプレーヤーの調整を、さらにつめていく。
そしてアンプ、スピーカーへの順で行う。

これを何度も何度もくり返しシステムをつめていくのが基本。
気が向いたところから手をつけていっても、音の入口であるアナログプレーヤーがいいかげんな状態であれば、
アナログプレーヤーで発生している不具合を、
アンプやスピーカーのところでなんとかしようと悪戦苦闘しても、実際はなんともならない。

アナログプレーヤーの不具合は、アナログプレーヤーの設置・調整をきちんとやる以外にやりようはない。

そのアナログプレーヤーの調整をきちんと行うためには、
アナログプレーヤーをきちんと設置する必要がある。
設置がいいかげんなままでは、それこそ何を調整しているのかわからなくなる。

アナログプレーヤーの調整に限らず、オーディオで大事なことは、
いま自分がやっていることは、何をどうしているか、ということをはっきりとさせることである。

そんなことわかっているよ、というだろう。
自分はカートリッジの調整をやっている、と。

だがプレーヤーの置き台(ラック)がガタついて、水平も出ていない状態。
プレーヤーの水平もあやしい状態で、何を調整しているといえるのか。

そして意外にもトーンアームのゼロバランスがきちんととれていない例も少なくない。

Date: 6月 11th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その20)

花村圭晟氏がいわれる「単純な取り扱い上のミス」は、日本のオーディオマニアに限ったことではない。
アメリカのオーディオマニアもそうだ、ということが、ステレオサウンド 64号掲載の記事を読めばわかる。

Spirit of Audio-scienceとつけられた記事は、
マッキントッシュのゴードン・ガウのインタヴューをまとめたもの。
副題は「私は音の仕立屋(サウンドテイラー)になりたい ヴォイシング(音場補正)をめぐるインタビュー」。

「オーディオ製品は、ディズニーのミッキーマウスのようなキャラクター商品ではないのです」
ゴードン・ガウのこの言葉のあとに、アナログプレーヤーに関する発言が続く。
     *
実は、ヴォイシングにうかがうと、まず最初にカートリッジが正しくプレーヤーに取りつけられているかどうかチェックすることから始めるのです(笑)。ディーラーと協力して調査した結果、実に6割のユーザーが、オーバーハング、トラッキングアングル、インサイドフォース・キャンセラー、針圧の調整の不備によって、正しくカートリッジを使いこなしてません。超楕円針がこれほど普及してきた今日、レコードの音溝に対して5度傾いていても、多量のIM歪の発生につながります。XRT20は、とりわけIM歪を減らすことを重要な課題として設計されていますから、カートリッジ出力からIM歪だらけの信号を再生していたのでは、お話になりません。
いくら、ヴォイシングで調整しても左右の拡がりのバランスがとれないと思って調べてみると、シェルに正しくカートリッジが取りつけられていなかったりする。音溝の左右に均等に針圧がかかっていないケースが非常に多いのです。
いくら高価な装置を買いそろえても、音の入口がその状態では、ヴォイシングの意味はなくなってしまいます。
     *
ステレオサウンド 64号は1982年9月発売だから、まだCDは登場していない。
この時代のアメリカでも、マッキントッシュのアンプ、スピーカーを購入する人たちでも、
六割の人がカートリッジを正しく使いこなしていない、という事実。

いまはどうなっているのだろうか。

Date: 6月 10th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その19)

ステレオサウンド 63号には、オーディオクラフト・ニュース No.5が掲載されている。
そこにこう書いてある。
     *
 このような問題点も、カートリッジのものに起因するもともと偏差の大きいカートリッジでない限り、意外と単純な取り扱い上のミスによるものが少なくありません。
 その何点かを列記すると
 ①ヘッドシェルの水平度、またはカートリッジの取り付けが不備である場合。
 ②レコード面の水平度が不十分である場合。
 ③レコードプレーヤーそのものの水平度が出ていない場合。
 レコード再生時のトラブルはこのような要因が圧倒的に多く、水平度のくるいから生ずるカートリッジの誤動作、とりわけクロストークバランスに影響してくる誤動作は、高域の不快な歪感をつきまとわせる結果となります。
(中略)
 一般的に、レコードプレーヤーキャビネットの水平チェックはするが、レコード面の水平度はチェックしにくいことも手伝って、確認されていないケースが多いように思われます。弊社のようにワンポイント方式のトーンアームを作っていると、ユーザーの方から〝どうしてもラテラルがとれない〟といった苦情をいただくケースが多いのですが、実際に調べてみると反ったレコードをターンテーブルを止めたまま調整していることが良くあります。ターンテーブルが回転していれば、反ったレコードですとカートリッジが上下にゆれますから気付くのですが、調整確認のためターンテーブルが止まっている場合が意外に多いのです。
     *
ステレオサウンド 63号は1982年6月に出ている。
CDはまだ登場していなかった。
このころでさえ、こういう状況だったことがわかる。

Date: 6月 10th, 2014
Cate: アナログディスク再生, 広告

アナログプレーヤーの設置・調整(その18)

ステレオサウンド 59号から、オーディオクラフトの広告はがらっと変った。
確かに広告ではある。オーディオクラフトの製品を紹介はしている。
けれど、全体的な印象は、花村圭晟氏による記事でもあった。

オーディオクラフト・ニュースと扉のページにある。
いまステレオサウンドに掲載されている、いかなる広告ともはっきりと異る。
すへての広告がこうなるべきだ、とはいわないが、
この時代、こういう広告をしかるべきお金を払ってステレオサウンドに払って、
いわぱページを買い取っての掲載で、そこでの内容は広告であっても広告ではない内容でもあった。

ジョン・カルショーについて書かれたこともある。
オーディオメーカーの広告に、デッカのプロデューサーだったジョン・カルショーの名前が出てくる。
それは、ジョン・カルショーの本「ニーベルングの指環・プロデューサーの手記」の再版要望だった。

これはステレオサウンド 62号に載っている。
そして63号で、この本を訳された黒田先生が、「さらに聴きとるものとの対話を」で、
オーディオクラフトの広告についての書き出しで、取り上げられている。

このころのオーディオクラフト・ニュースは抜き刷りにして出してほしいくらいである。
このころのステレオサウンドを持っている人には不要であっても、
30年以上前のステレオサウンドだから、いまでは持っていない人の多いかもしれない。
そういう人のためにも出してほしい、と思うけれど、すでにオーディオクラフトもなくなっている。

花村圭晟氏も行方知らず、ときいている。

Date: 6月 10th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その17)

ここまで書いてきたこと、
そんなこと当り前すぎて、何をいまさらと思われるかもしれない。

だが、意外にここまて書いてきたことがきちんとなされていないケースが少なくないから、書いている。

私はそれほど多くの方のリスニングルームに行っているわけではないが、
それでもアナログプレーヤーの使いこなしのいいかげんさは目にしてきている。
本人はきちんと設置・調整しているつもりでも、そうでないことがあった。

たまたま私が行ったところだけがそうではない。
アナログディスク再生に関しては大先輩といえる花村圭晟氏。

花村氏に関して、瀬川先生がステレオサウンド 58号に書かれている。
     *
 余談かもしれないが、社長の花村圭晟氏は、かつて新進のレコード音楽評論家として「プレイバック」誌等に執筆されたこともあり、音楽については専門家であると同時に、LP出現当初から、オーディオの研究家としても永い経験を積んだ人であることは、案外知られていない。日本のオーディオ界の草分け当時からの数少ないひとりなので、やはりこういうキャリアの永い人の作る製品の《音》は信用していいと思う。
     *
花村氏はオーディオクラフトの社長でもあった。
瀬川先生の文章はオーディオクラフトのトーンアームAC3000MCについて書かれたものからの抜粋だ。

花村氏については、菅野先生からも話を聞いたことがある。
「ぼくらの大先輩だ」といわれていた。

Date: 6月 10th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その16)

アナログプレーヤーから雑共振をできるだけ排除することは、大事なことだ。
そのためにはアナログプレーヤーの周りをきれいに片付けることもだが、
アナログプレーヤーの機械的な点検も行っておきたい。

機械的点検とはガタついているところがないかのチェックである。
ガタつきまではいかなくとも、取り付けネジが緩んでいないかのチェックを行う。

ネジは使っているうちにたいてい緩んでくる。
カートリッジをヘッドシェに取り付けているネジ、
ネジではないが、ヘッドシェルとトーンアームの結合箇所、
トーンアームをベースに取り付けているネジ、
ベースがプレーヤー・キャビネットに取り付けるタイプであれば、その取り付けネジ、
それからターンテーブルプラッターを外して目に見えるネジ、
ダストカバーをもつモデルであれば、ヒンジのネジ、
もっと細かなことをいえば裏側のネームプレートをネジ止めしているモノならば、そこだし、
たとえばSMEのトーンアームのように針圧印加用のウェイトはネジ止めできるようになっているから、
ここもわすれないように締めておく。

アナログプレーヤーには、けっこう数のネジが使われている。
これらを増し締めしておきたい。

ただここで注意しておきたいのは、締めすぎないこと。
緩みすぎてガタついているのは論外だし、そこまでではないにしろ緩んでいたら、音に影響を与える。
とはいえ力を入れすぎて締めすぎになってしまうのもよくない。

どのくらいはいいのかは、これは感覚に頼ることになる。
どのくらい締めればいいのかわからない人は、
まず意図的にネジを緩めてみたらいい。どんなふうに音が変るのかを、まず自分の耳で確かめる。

Date: 6月 7th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その15)

アンプが受けとるのはカートリッジが発電した信号である。
アンプはその信号を増幅してスピーカーを鳴らす。

つまりカートリッジの信号が、アンプにたどりつくまでに欠落する、
もしくは歪められるようなことがあったら、それをアンプやスピーカーでなんとかすることはできない。
だから接点はこまめにクリーニングする習慣をつけておきたい。

同時にカートリッジができるだけレコードの溝を精確に電気信号に変換できるようにすることも、
アナログプレーヤーの使い手には求められる。

私がアナログプレーヤーの周りをきれいに片付けろ、といういうのもそのためである。
このことはずっと以前から、井上先生がたびたび言われていたこと。
ステレオサウンドにも何度か書かれている。

にも関わらず忘れられつつある、と感じることもある。

カートリッジは振動を電気信号へと変換する。
この信号も非常に微細な振動である。

そこに雑共振をするものがアナログプレーヤーの周りにあったら、どうなるか。
それは電気信号の通り道の接点がひどく汚れているのと同じと捉えてもいい。

雑共振とは、汚れた共振(振動)だからだ。

Date: 6月 7th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その14)

アナログディスクはRIAAカーヴにより溝がカッティングされる。
1kHzを基準とすれば、20kHZと20Hzは約20dBのレベル差がある。
つまり20kHzと20Hzでは約40dBのレベル差があることにもなる。

40dBとは100倍、もしくは1/100ということになり、
カートリッジが出力している電圧のカタログ表示はあくまでも1kHzにおける値であり、
低音ではその値よりもずっと低くなる。

音楽には強弱がある。
ピアニッシモでは出力電圧はまた低くなる。
低音におけるピアニッシモでもどうなるのか。
それも高出力のカートリッジではなく、
空芯コイルで、低インピーダンスのMC型という出力電圧が低くなりがちのカートリッジでは、
もっとも小さくなる出力電圧はいったいどこまで下がるのだろうか。

カートリッジが発電したそんな微弱な信号はいくつもの接点を経由して、
シェルリード線、トーンアーム内部の線、トーンアームの出力ケーブルを通りアンプなり昇圧トランスに着く。

これらのことを考えれば、アナログプレーヤーに存在する接点はクリーニングしておきたい。
接点部分が汚れていたり酸化膜ができてたりしたら、
カートリッジの信号がアンプに届くまでに影響を受けるからだ。

Date: 6月 7th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その13)

アナログディスクの溝の拡大写真を見ると、
フォルテッシモの箇所ではカートリッジの針先が左右に大きく振られるように思えるほどだが、
実際にアナログディスクを肉眼で見ていると、
ディスク全体に濃淡は感じられても、溝がそれほどうねっているようには見えない。

それほどにアナログディスク(LP)の溝は細い。
だからこそSPからLPになったとき、収録時間が大幅にのび、LPの溝のことをマイクログルーヴとも呼ぶ。

こんなことを考えてみる。
SPではアクースティック蓄音器が存在できた。
電気を使わずに針先の振動を音に変えていくだけの機構で、けっこう音量が得られた。

これを同じことをモノーラルLPで仮に試みたとして、どれだけの音量が得られるだろうか。

SPの溝と比較してマイクログルーヴと呼ばれるLPの溝をカートリッジの針先がトレースして、
それを基にカートリッジは発電している。

カートリッジが発電する電圧は、一部の特殊なカートリッジを除けばmVクラスである。
MM型カートリッジ数mV、MC型カートリッジともなると一桁小さな値になる。
MC型カートリッジには空芯か鉄芯入りかの違い、インピーダンスの違いなどにより、
出力電圧はさらに違ってくる。

低いものでは、さらに一桁小さな値になる。

Date: 6月 5th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その12)

きちっと設置され、調整においても相当に追い込んであるアナログプレーヤーであれば、
プレーヤーキャビネットの上に、プレーヤーの置き台に、なにか雑共振をするものを載せてみれば、
なぜ、プレーヤーの周りを片付けろ、と言うのがすぐに理解できる。

雑共振のするものとは、指で弾いたときに澄んだ音でなく、雑多な音がする、汚い音のするもののことである。
たとえばCDのプラスチックケースであり、これならばたいていのオーディオマニアのところにある。

CDのプラスチックケースをプレーヤーキャビネットに、置き台に載せる。
これによる音の変化をよりはっきりと出すためには、置けるかぎり何枚も載せてみればいい。

そうした音と、周りをすっきりと片付けたときの音を比較してみる。

うちのプレーヤーはフローティング型だから、置き台にそんなものを載せたところで音への影響はない、
と思う人でも、実際にやってみるといい。
世の中に完璧なフローティング機構は存在しないことが、頭でなく耳ではっりきとわかるはずだ。

CDのプラスチックケースを載せた途端に、音は濁る、汚くなる。
ディテールが不鮮明になる。
これだけでなく、音は変化する。

たった一枚のプラスチックケースでも、載せれば音はおかしくなる、といえる。

載せてもそんなに変らなかった、変ったけれど悪くなったとは感じなかったら、
未熟な使いこなししかできていない、と思った方がいい。