電子制御という夢(その1)
アナログプレーヤーの魅力はメカニズムの魅力ともいえる。
電子制御に頼らずに、モーターという駆動源があれば、他に電気を必要としない。
それだけに正確で静粛な回転を得るには、
精度が高くも強度も高いメカニズムが必要になり、そういうものはどうしても高価になってしまう。
ここに電子制御が加われば、メカニズムの精度、強度を落としてもカタログ上のスペックでは、
昔ながらのアナログプレーヤーよりも優れた数値となる。
電子制御によってアナログプレーヤーは大量生産ができるようになった、ともいえる。
そのせいもあって、音のいいプレーヤーとなると、メカニズムのしっかりしたモノということになっている。
私自身も、マイクロの糸ドライヴも使ってきたし、EMTのリムドライヴを愛用してきた。
どちらも回転系に電子制御のかかっていないプレーヤーである。
アレルギーとまではいかないまでも、アナログプレーヤーに電子制御は必要なのか、とずっと思ってきていた。
そういえば、瀬川先生は、ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」で、
DDモーターでもクォーツロックをかけたプレーヤーは、
音がハードになるとか、味もそっけもなくなるという批判が聞かれるようになってきたし、
確かな裏づけはないものの、クォーツロックでないプレーヤーのほうが、
ひと味ちがった音をもっているように思える、と発言されている。
いまでも回転系に電子制御は必要なのか、と思っている。
けれど、アナログプレーヤーで電子制御を取り入れてみたら、どうなるのか、と期待しているのが、トーンアームだ。