Date: 6月 22nd, 2014
Cate: アナログディスク再生
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電子制御という夢(その7)

カートリッジの針先がトレースするのは、
塩化ビニールを主材料とした円盤に刻まれた溝である。
ラッカー盤とは異り、平面性においては理想的にはほど遠い。

保管の仕方が悪ければ反ってくるし、
新品のレコードであっても反っているモノもあったし、
見た感じでは反っていないようであっても、
カートリッジの針先から見れば反りが完全にないディスクはないのではなかろうか。

反りがあれば、その部分ではトレースが阻害される。
まったく反りがない、どんな保管の仕方をしても反りが生じないレコードばかりであれば、
トーンアームは、いまの形態とはまたく異っていたかもしれない。

トーンアームはレコードには反りが多少なりともあるものとしての設計である。

反ったレコードはターンテーブルプラッターに吸着してしまえばいい、という考え方は以前からある。
現実の製品もいくつか存在していた。
ラックスは1980年にPD300というアームレスターンテーブルを発表した。
手動ポンプによるレコード吸着だった。

1982年ごろにはオーディオテクニカから、手動ポンプによる吸着機構をもつターンテーブルシートAT666が出た。
上級機のAT666EXは乾電池を使った電動ポンプ。
AT666はどんなプレーヤーでも吸着機構が使える反面、
吸着時にはポンプとシートをチュープでつないでレコードの吸着後チュープをはずして、という、
やや使い勝手の悪さがあるのは止むを得ないといえよう。

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