オリジナルとは(その28)
ダグラス・サックスがレコード再生システムの改良形として、
光学式による音溝のトレースをするプレーヤーシステムとなると、実際にはどういうモノになるだろうか。
ダグラス・サックスがインタヴューにこたえていた時点では、
そういうプレーヤーは存在しなかったけれど、いまはエルプの製品がある。
ただ機械式トレースを光学式トレースに置き換えただけのプレーヤーであれば、
そのプレーヤーの出力信号は、
従来の機械式トレースのモノ、つまりMC型なりMM型カートリッジの出力信号ということになる。
しかもRIAAカーヴのイコライジングを必要とする出力信号である。
でもエルプ以外のメーカーが、仮に光学式トレースのアナログプレーヤーを開発したとしても、
そういうふうにはしないはず。
必ずラインレベルでの出力にして、イコライジングも行い、
コントロールアンプのライン入力にそのまま接続できるように仕上げる。
そしてイコライザーカーヴもRIAAだけでなく、各種カーヴを使えるようにする。
回転数もSPの78回転も加えて、
つまりこれまで100年以上の歴史をもつアナログディスクのすべてを一台のプレーヤーで再生できるようにする。
これが、ひとつのアナログプレーヤーの在り方といえるし、
ここからアナログプレーヤーの在り方について、その細部について考えていく──、
それがプレーヤーにおける「オリジナル」を考えていくことである、と私はおもう。