オリジナルとは(続×十五・チャートウェルのLS3/5A)
真空管アンプ時代のマランツとマッキントッシュの音の違いとは、いったいどういうものだったのか。
それを、「世界のオーディオ」のMcINTOSH号の、この記事はうまく伝えている。
瀬川先生の、こんな発言がある。
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マランツで聴くと、マッキントッシュで意識しなかった音、このスピーカーはホーントゥイーターなんだぞみたいな、ホーンホーンした音がカンカン出てくる。プライベートな話なんですが、今日は少し歯がはれてまして、その歯のはれているところをマランツは刺激するんですよ。(笑)マッキントッシュはちっともそこのところを刺激しないで、大変いたわって鳴ってくれるわけです。
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同じレコードをかけて、同じアナログプレーヤーとスピーカーシステムで聴いても、
マランツは歯の痛みを意識させ、マッキントッシュは歯の痛みを忘れさせる。
この違いは、どちらが音がいいとか、アンプとして優秀といったことではなく、
音楽への接し方・聴き方に関わってくる性質のものであり、
さらに聴き手の肉体の状態までも、関係してくる。
菅野先生は、別の表現で、マランツとマッキントッシュの違いを語られている。
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マランツだと、これはほかの機器の歪みだぞといった感じで、毒を毒のまま出しちゃうところがあったんですね。マッキントッシュの場合、例えばピックアップのあらとか、ソースのあらなどの、そうした毒をうまく薬のようにして、聴きやすく鳴らしてくれるところがありますね。
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菅野先生は、さらに的確な喩えをされている。
これも引用しておこう。
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この二つは全く違うアンプって感じですな。コルトーのミスタッチは気にならないけど、ワイセンベルグのミスタッチは気になるみたいなところがある。(大爆笑)これ(マッキントッシュ)はまさに愛すべきアンプだね。
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マランツの音には、ワイセンベルグのように、ミスタッチが気になってしまうところがある。
だから、私はModel 7のメンテナンスすることになったら、
コンデンサーをもともとついているBlack Beautyにはせず、ASCにする理由が、ここにある。