ワイドレンジ考(その85)
JBLの4350の最初のモデルは1974年に登場している。
タンノイのKingdomの登場は1996年。
20年以上の開きがある。
いうまでもなくJBLはアメリカ西海岸のメーカー、
タンノイはイギリスのスピーカーメーカー。
ある時期まではクラシックを聴くならタンノイ、
ジャズはJBL、といわれていたこともある。
タンノイとJBLは、数あるスピーカーメーカーの中でも、もっとも比較されることが多い。
それだけ対照的なスピーカーメーカーともいえる。
そのふたつのスピーカーメーカーのフラッグシップモデルで、マーラーが聴きたい、というのは、
あまりにも節操がない、というか、マーラーがわかっていない、と思われるかもしれない。
でも私にとって4350とKingdomは、JBLとタンノイの違い、というよりも、
オーケストラの違いのように感じられて、私のなかでは4350とKingdomが矛盾することなく存在している。
JBLはやはりアメリカのオーケストラといえるし、
タンノイはヨーロッパのオーケストラといえる。
そういえばバーンスタインはコロムビアにマーラーの交響曲を録音したとき、
オーケストラはニューヨークフィルハーモニーだった。
この録音から約20年後、ドイツ・グラモフォンでのマーラーでは、
オーケストラをひとつに固定せずに、ニューヨークフィルハーモニーのほかに、
ウィーンフィルハーモニー、アムステルダム・コンセルトヘボウオーケストラを指揮している。