Posts Tagged エレクトロボイス

Date: 7月 17th, 2014
Cate: サイズ

サイズ考(大口径ウーファーのこと・その5)

ウェストレックスの1950年代の劇場用スピーカーシステムにT501Aがある。
このシステムに採用されているスピーカーユニットはJBL製。
中高域を受け持つT550Aホーンは、JBLの537-500同等品で、ドライバーのT530Aは375同等、
低域には150-4C同等のT510Aが二発、フロントショートホーン付き、
しかも2.4m四方のバッフルをもつエンクロージュアに収められている。

T501Aシステムの使用例から、
2インチ・スロートには最低でも15インチ・ウーファー二発が必要とまではいわないまでも、
こういう大がかりなシステムになっていくのも、2441+2397を毎日目にしていると当然だな、と思えてしまう。

そしてJBLが2440を搭載した4350で、ホーンに2397といった、いわゆるフルサイズのホーンではなく、
2392 (2308+2311)というショートホーンにした理由もなんとなくではあるが、想像できる。

2392のホーン部の奥行きは11.7cm(音響レンズ部は6.3cm)。
HL88の半分以下の長さしかないし、ホーン開口部の大きさもずっと小さい。

HIGH-TECHNIC SERIES-1の表紙に、
エレクトロボイスの30WではなくJBLの15インチ・ウーファーを使っていたら、
手前に置かれるホーンは2392になっていたかもしれない。
そうなっていたら2392に2440は取りつけられていただろうか。

2440と2392の組合せは、ドライバーの先にちょこんとホーンがくっついている、そんな感じになる。
2440が圧倒的に存在感を示す。サイズ的にはかなりアンバランスだから、
HIGH-TECHNIC SERIES-1の表紙には、こちらでもドライバーなしでの撮影になったかもしれない。

Date: 7月 13th, 2014
Cate: サイズ

サイズ考(大口径ウーファーのこと・その3)

これは私の勝手な想像なのだが、
おそらくHIGH-TECHNIC SERIES-1の表紙の撮影には、他のユニット、
つまりJBLのウーファーも用意してあったと思う。

HIGH-TECHNIC SERIES-1の表紙とカラー口絵の撮影は亀井良雄氏。

カラー口絵には、もっと多くのユニットが登場する。
ウーファー、フルレンジユニットとして、
30Wの他にJBLの2220B、LE8T、アルテックの405A、エレクトロボイスのSP12C、
ドライバー/ホーンとして、
JBLの375、2440、2420、075、2405、HL88、HL89、2345、2397、他ネットワークが、
アルテックの802-8D、511B、ヴァイタヴォックスのS3、CN123、CN157、
エレクトボイスの1823M+8HD、T350などである。

編集に携わった経験からいえば、表紙とカラー口絵は同じスタジオで、同じ日に撮られているはずだ。

つまりはこれだけのユニットを並べ替えた結果としての、
JBLの075、HL88、エレクトロボイスの30Wの組合せといえる。

では、なぜ2220Bではなく30Wだったのか。

HIGH-TECHNIC SERIES-1の表紙では、075がほぼ中央の手前に置いてある。
075のやや後方(向って左側)にHL88があり、これらから少し離れた後方に30Wという配置。

この配置で、30Wを2220Bに置き換えたとして、これほどいいバランスの写真になったとは思えない。

Date: 7月 13th, 2014
Cate: サイズ

サイズ考(大口径ウーファーのこと・その2)

私がこれまで自分のモノとして鳴らしてきたスピーカーでは、
15インチ口径ウーファーがいちばん大きい。
それ以上の、18インチ、30インチといった大口径ウーファーは、自分のモノとして鳴らした経験はない。

いまいわゆる大口径ウーファーは少なくなってきたように感じる。
いつのまにか大口径ウーファーを鳴らすのは、あまり知的ではないような風潮が一部ではあるようだ。
小口径、中口径ウーファーを鳴らす方が質の高い低音が得られる──、
それがあたかも最新の鳴らし方のように喧伝する人たちが増えてきたようにも感じている。

低音再生とは、そういうものなのか、
それに15インチは大口径なのか。

私の感覚では、15インチをこえたサイズから大口径となる。
つまり私にとって大口径ウーファーのもっとも小さなサイズが18インチであり、
それ以上の24インチ、30インチが、まさしく大口径ウーファーという認識である。

1977年秋のステレオサウンド別冊、HIGH-TECHNIC SERIES-1。
マルチスピーカー・マルチアンプのすすめ、というテーマでつくられた一冊。

この本の表紙はJBLの075、HL88(537-500)、それにエレクトロボイスの30Wが並んでいる。
この表紙をみたときから、なぜJBLのウーファーを使わなかったのか、という疑問があった。

075、HL88、2220でもいいじゃないか、と思いながらも、
075、HL88、30Wの組合せの写真のバランスの良さにも感心していた。

Date: 7月 12th, 2014
Cate: サイズ

サイズ考(大口径ウーファーのこと・その1)

1970年代、大口径ウーファーといえば、15インチ(38cm)口径以上のユニットのことだった。
当時は、15インチの上に18インチ(46cm)があった。

さらにその上もいくつかあった。
最も有名なユニットとして、エレクトロボイスの30W(30インチのWooferを表す)があった。
30インチ=76cmの振動板は紙ではなく、発泡ポリスチレン製だった。

他にはハートレーのModel 224HSがあった。
型番の下二桁が口径を表している。
24インチ(60cm)口径。
ハートレーには218HSもあり、こちらは18インチ。

国産ウーファーにも15インチよりも大口径ウーファーはあった。
フォステクスのFW800は型番が示すように80cm口径。

ユニットとしての単売はなかったと記憶しているが、
ダイヤトーンにはハニカム振動板を採用した80cm口径、160cm口径のユニットによるサブウーファー、
D80、D160もあった。

私がオーディオに興味を持ちはじめてからでも、これだけの大口径ウーファーが存在していた。
それ以前にもいくつかある。

ナショナルは92cm口径のウーファーを試作している。
ハザマは78cm、パイオニアは80cmと63cm(PW63S)、岡原研究所が71cm、ダイヤトーンが55cm、コーラルが100cmと、
これらは市販されていた、ときいている。