Bösendorfer VC7というスピーカー(その8)
民主主義的なつくられかたをされたスピーカーは、なるほど精確かもしれない。
それはオーディオに対して、音響的な精確さにとどまることも多いようにも思う。
一方、VC7やオートグラフのようなスピーカーは、精確さということでは、
その他多くのスピーカーの方が、ずっと、その点では高く評価されるであろう。
けれど、音楽的な正確さ(精確さ、ではない)ということになると、
必ずしもどちらの側のスピーカーが上とは、断言できないところが、オーディオの難しさと面白さとして存在している。
オーディオの技術の限界は、つねに存在する。
そのなかで、技術を高度に発展させていくことも大事なのはわかったうえで、
洗練させていくことも大事なのではなかろうか、と感覚的にそう思っている。
VC7やオートグラフの語り口に、気品を感じるのは、
どちらのスピーカーの設計者も、もてる技術を洗練させた努力の結果であるからだ。