サイズ考(その49)
また1次側のインピーダンスは、とうぜん使用するカートリッジのインピーダンスを考慮しなければならない。
インピーダンスの低いもので1.5Ω前後、高いものだと40Ω程度だから、
これらの値から大きく外れることは、まずできない。
つまりトランスの設計においては、扱う信号の大きさ、
1次側、2次側に接続される機器のインピーダンスなどの制約の中で、
うまくバランスをとってつくられるものである。
それに較べると、アンプの設計の自由度は、そうとうに大きいといえる。
こうやってみていくと、トランスの使用にメリットはあまりないように思われるだろう。
MC型カートリッジの昇圧手段としてぐらいならまだしも、
あえてコントロールアンプの終段やパワーアンプの入力にトランスをつけるなど、考えはしないであろう。
ネットワークのところで述べた信号系のループのことを思い出してほしい。
ループの問題に対して、トランスの有用性は高いものがあると、私は考えている。