井上卓也氏のこと(その26)
CDプレーヤーに関することで思い出すのは、セパレート型CDプレーヤーが登場して半年くらい経ったころだろうか、
試聴中の、井上先生の指示は、耳を疑うもので、思わず、何をするのか聞きかえしたことがある。
CDトランスポートのデジタル信号を、そのままアンプのライン入力に接続してみろ、というものだった。
デジタル信号をアンプにつないで、CDを再生したら、スピーカーをこわすほどの、
ものすごいノイズが出てくるものだと、試しもせずに思っていた。
試された方もおられるだろうし、5年ほど前の、タイムロードの試聴室でのイベントでも行われているから、
どういう結果になるかは、ご存じの方もおられるだろう。
ノイズだけが聴こえるのではなく、レベルは低いものの、意外とはっきりと、
そのCDに収録されている音楽が聴こえてくる。
S/PDIFにはデジタル信号だけが流れているもの、
デジタル信号とアナログ信号はまったくの別ものである、という思い込みがくずれてしまった。