オリジナルとは(続×五・チャートウェルのLS3/5A)
LS3/5AはBBCモニタースピーカーであり、
ロジャースはBBCからのライセンスを受け製造・販売していた。
BBCのライセンスを受けることができればロジャース以外のメーカーでもLS3/5Aは作れる。
なにもLS3/5Aだけではない。他のBBCモニタースピーカーを作っていける。
実際LS3/5Aはいくつものメーカーから登場することになり、
LS3/5Aに関心のあるマニアにとっては、
どこのLS3/5Aこそが優れているのか、ということが高い関心へとなっていく。
数としてはロジャース製がもっとも出ているのだろう。
もっとも数が少ないのがチャートウェル製であることは間違いない。
LS3/5AはBBCライセンスのもと、厳格な規格で作られているスピーカーシステムである。
つまりスピーカーシステムとしての性能においては、
どこのメーカーのLS3/5Aであろうと、違いがあってはならないわけだ。
なのに、なぜLS3/5Aのマニアは、夢中になるのか。
何に夢中になっているのか。
それは、音色、ということになる。
この音色は、オーディオ的音色である。
LS3/5Aに使われているユニットは、
ウーファーもトゥイーターも KEF製で、B110とT27である。
どこのメーカーのLS3/5Aも、このKEF製のユニットを使わなければならない。
ネットワークの回路もライセンス通りに作らなければならない。
にも関わらず、各社のLS3/5Aには、関心のない人にはわずかな違いしかないとしか思えるのものが、
LS3/5Aに高い関心をもつ人にとっては、決してわずかではない違いになる。
この違いは、他社製の、まったく異るスピーカーシステムとの音の違いに比べれば、
事実、ほんのわずかな違いではある。
ロジャース製のLS3/5Aとロジャース製の他のスピーカーシステムの差よりも小さい。
けれど、各社のLS3/5Aを比較して聴くような人にとっては、
その差はわずかでも、その差がもつ意味は大きい。