附録について(その3)
附録をつければ、その附録が魅力的であれば、その雑誌の売行きは通常よりも増えるからこそ、
いまやいくつもの出版社のオーディオ雑誌に附録がつくようになったのだろう。
出版社は本を売る会社なのか。
本を売る会社だとすれば、附録をつけて売上げを伸ばすことは批判されることではないことになる。
けれど出版社は、本を売る会社ではないとしたら、附録をつけることの意味合いが変ってくる。
別項の、モノと「モノ」の(その2)、(その4)でも書いていることとだぶるけれども、
黒田先生の「聴こえるものの彼方へ」の中にでてくる
フィリップス・インターナショナルの副社長の話をいまいちど引用しておく。
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ディスク、つまり円盤になっているレコードの将来についてどう思いますか? とたずねたところ、彼はこたえて、こういった──そのようなことは考えたこともない、なぜならわが社は音楽を売る会社で、ディスクという物を売る会社ではないからだ。なるほどなあ、と思った。そのなるほどなあには、さまざまなおもいがこめられていたのだが、いわれてみればもっともなことだ
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出版社は、本という物を売る会社ではないはず。
たまたま、出版社が本来売るべきものをおさめる物として本という形態があったという見方もできる。
フィリップス・インターナショナルの副社長の話を読んで、
なるほどなあと思う編集者ならば、オーディオ雑誌に附録をつけることを行うとしても、
いま、どこの出版社でもやっているやり方とは違ってくるのではないだろうか。