Date: 6月 27th, 2009
Cate: 黒田恭一
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黒田恭一氏のこと(その4)

1982年夏、ステレオサウンドの別冊として「サウンドコニサー(Sound Connoisseur)」が出ている。
アクースタットのコンデンサー型スピーカー、Model 3がはじめて登場した記事が載っている。
黒田恭一先生と草野次郎さんの対談によって、Model 3の音が語られている。

黒田先生を語りを引用する。
     ※
弱りましたね。「ステレオサウンド」編集部の素晴らしいところと怖いところは、どこに落とし穴があるかわからないところなんだ(笑)。編集部の方々もどの人が味方でどの人が敵なのかわからない。
というのも、昼食を食べて試聴室に戻ってきたら、あれはシルビア・シャシュだと思うけれど、彼女の歌っているノルマの「カスタディーバ」が聴こえてきた。昼休みを利用して試聴レコードにないシャシュがかかっていたわけなんですが、この選曲が、このアクースタットのモデル3にとっては抜群の出来だったと思うのです。(中略)
 もし瀬川さんが入らしたら〝空気感〟というふうなことをおそらくおっしゃったと思うのですが、つまり音を出していない楽器にも、ちゃんとプレイヤーがいるという感じがわかるんです。
     ※
シルビア・シャシュのレコードをかけて聴いていたのは、私である。
別に味方でも敵でもないし、記事をおもしろくしようとか、そんな考えは微塵もなくて、
ただ、このアクースタットで、いちばん聴きたいと思ったレコードを、昼休みに鳴らしていただけだった。

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