Date: 6月 5th, 2009
Cate: 黒田恭一
Tags:

バーンスタインのベートーヴェン全集(その2)

音楽通信の創刊号は、記憶違いでなければ、1984年1月だったはず。

編集部は、ステレオサウンドがはいっていたビルではなく、外苑東通りを東京タワー方面に歩いて10分ほどのところ、
ソ連大使館(当時)近くのマンションにあった。
かなり広いワンルームマンションに、これまた大きなテーブルが置いてあり、
そこに編集長の黒田恭一先生をはじめ、音楽通信・編集部の人たちが集まり、
創刊号の準備を、とても地道な作業のくり返しを、それはたいへんなことだけど、
なにか独得の活気に満ちていた空気のなかでやられていた。

いまならMacの画面上で、使用するフォントの属性、行間の設定をあれこれ変えて、
その結果を印刷して見比べるという、それほどたいへんでもない作業を、
当時、MacでDTPなんて、まだ影も形も存在していない時代
──マッキントッシュの128Kが登場したのが1984年、その前年の話だ──、
音楽通信の編集部の人たちは、本文の書体、サイズ、行間、一行あたりの文字数を決定する作業を、
実際に、いろいろな本のページをコピーしては、それらを切り貼りして見本を作っては、
検討、手直しをしたり、という根気が求められる作業を、決しておろそかにすることなくこなされていた。

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