BBCモニター考(その11)
KEFの105は、製造ラインをコンピュータ管理していること、
振動板の素材にバラツキの少ない高分子系のモノをつかっていることなどから、
もともと品質・特性のバラツキは少ないスピーカーであったが、
105.2になり、さらにバラツキは少なくなり、KEFの研究所にある標準原器との差は、
全データにおいて1dB以内におさめられているモノのみ出荷していた。
JBLの4344、4343からすると、このバラツキのなさ(少なさというよりもなさと言ってもいいだろう)は、
KEFという会社のスピーカーづくりのポリシー、
そして中心人物だったレイモンド・E・クックの学者肌の気質が結実したものだろう。
出荷の選別基準を1dB以内まで高めたことは、製造時のバラツキの少なさの自信の現われでもあろう。
バラツキの大きいものが作られれば、その分、廃棄されるものも増え、製造コストは増していくばかりだ。
バラツキの少ない素材の選定から製造ラインの徹底した管理などともに、
バラツキを抑える有効な手段といえるのが、ネットワークの高次化ではなかろうか。
特性を揃えるということは、できるだけユニットをピストニックモーションの良好な帯域のみで使い、
分割共振が増してくる帯域はできるだけ抑えることでもある。
コントロールがきかなくなりつつある分割共振の帯域が、レベル的に高いままユニットから出ていては、
スピーカーシステム・トータルの特性もバラついてくる。
もちろんバラツキをなくすためだけに高次ネットワークを採用したわけではなかろう。
それでも高次ネットワークと出荷選定基準の引き上げは、決して無関係ではないと考えられる。