Date: 8月 30th, 2011
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(その36)

ケイト・ブッシュの12インチ・シングルは、厚手のディスクではなく薄手のディスクだった。
反りがまったくなかったわけではなかったが、特に問題とすることでもなかった。
なんなくトレースできて、12インチ・シングル用のリミックスをどきどきしながら聴いていた。

でもずいぶんあとになって、12インチ・シングルは、再生が難しい、という記事か記述を目にした。
12インチ・シングルの多くは薄手のディスクだから、
反りがあって、その反りによってトレースが困難になるからだ、とあった。

同じ程度の反りでも、レコードの回転数が変れば、その反りによるトレースへの影響の度合も変化する。
ゆっくりな回転数では難なくトレースできる反りでも、45回転、さらには78回転ともなれば、
アナログプレーヤーの性能が充分でなかったり、調整にどこか不備があれば、問題発生となる。

だからマーク・レヴィンソンの45回転盤、オーディオラボの「ザ・ダイアログ」の78回転盤が、
UHQRにしたのもうなずけることだ。
薄手の塩化ビニール盤で反りがあったら、78回転は実現できなかったのではないだろうか。
45回転盤ならば、マーク・レヴィンソンのレコードを購入するぐらいの人ならば、
アナログプレーヤーに不備があることはないだろうが、それでも完璧を期すマーク・レヴィンソンにとっては、
ほんのわずかな反りでも許し難かったのだろう。

レコードの回転数が増せば、33 1/3回転では無視できたことが、なにがしかの問題として浮上してくることになる。
だから、ケイト・ブッシュの45回転盤(12インチ・シングル)も、
グラシェラ・スサーナの第一家電のディスクのように、
UHQRほどではないにせよ、すこし厚手の反りの出にくい仕様であったならば、
もっといい音で聴けたはず、と思いながらも、それでも薄手のすこし反りのあったディスクでも、
12インチ・シングルの音は格別のものがあったし、12インチ・シングルの音にふれたことから、
アナログディスクはエネルギー伝送、CDは信号伝送という個人的な感覚論が、私の中に生れている。

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