あるスピーカーの述懐(その53)
JBLの4343は、瀬川先生が鳴らされていた。
黒田先生も鳴らされていた。
ステレオサウンド試聴室のリファレンススピーカーでもあった。
だからこそ、と言えるところがある。
スピーカーの多様性について語っていく上で、
現在のステレオサウンド試聴室のリファレンススピーカーであるB&Wのスピーカーが、
当時の4343と代わりとなるだろうか。
JBLがリファレンススピーカーだった時代よりも、
B&Wの方がいまでは長くなっている。
だから十分代わりを果たしている、はずなのだが、私にはそうとは感じられない。
他の人はどうなのだろうか。
4343を知らない世代の人は、そんなふうには思っていないかもしれないが、
4343を知る世代は、どうだろうか。
私と同じなのかもしれない。
だとしたら、どうしてなのだろうか。
何もB&Wのスピーカーの力不足とは言わない。
なぜなのか、結局、ステレオサウンドで書いている人の誰一人として、
自宅で鳴らしていないからだろう。