ちいさな結論(いい音とは・その1)
音は儚い、ともいえる。
楽器から、スピーカーから発せられた音は、すぐさま消えいってしまう。
あとには、なんの痕跡も残さないからだ。
楽器、人から発せられた音から音楽はなっている。
そのままでは消え去ってしまうのを、
マイクロフォンで捉え、レコーダーで記録する。
録音された音楽を、スピーカーを介して聴いている。
最近では、そのスピーカーからの音を録音することが流行っている。
このことについてあれこれ言おうとは思わないが、
私はやらない。
エアー録音と呼ばれているこの行為が、無意味と思うからではなく、
音の儚さを、なんとなく無視しているようにも感じるし、
なんだかいじましいっぽいところを感じるからでもある。
こうやったから、聴き手に届くのか。
届いているといえば、否定はできないけれど、
ならば聴き手に届くとはどういうことなのかを考える。
聴き手に届く音と届かない音がある。
私は、そう思っている。
どんな音でも聴き手に届いているとは、考えていない。
聴き手に届く音とそうでない音は何が違うのか。
輝きである。