Date: 4月 1st, 2024
Cate: High Fidelity
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手本のような音を目指すのか(その9)

別項「真空管アンプの存在」の(その50)、(その51)で書いている。
1980年代の、ある国産のパワーアンプのことだ。

当時としてはけっこう高価格のパワーアンプであり、
その会社のフラッグシップモデルでもあった。

造りも良かった。回路も意欲的だった。物量も投入されていた。
滑らかで音の透明度も高い。
安定度も高いから、パワーを上げてもまったく不安を感じさせない。

こう書いていくと素晴らしいアンプのように思われるだろう。
実際に優秀なアンプといえたし、そういう評価を得ていた。

けれど、決定的に、ピアニシモ(ローレベル)においての力を感じさせなかった。
ローレベルでの力のなさゆえに、このアンプでスピーカーを鳴らしていると、
ついボリュウムを上げてしまう。

力のないローレベルの領域をできるだけ使わないように、無意識で上げていたようだ。

このことを持ち出しているのは、
時計の秒針の音が気になる音、
パワーアンプの空冷ファンの音が気になる音というのも、
実のところ、この高級国産アンプの音と同じだから、といえる。

ローレベルの力のない音で聴いていると、周囲のもろもろの音が気になってしまう。
これは人によって違うのだろう。

この項の(その6)で書いているように、
私と同じように感じていた人もいるし、そうでない人もいる。

そうでない人は、上にあげた高級国産アンプの音を聴いても、
私と同じような不満は感じないであろう。

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