Date: 4月 25th, 2011
Cate: Autograph, TANNOY, ワイドレンジ
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ワイドレンジ考(その51)

とはいうものの、五味先生がオートグラフを存在を知り、
その高価さに、半信半疑で新潮社のS氏にされ、そこで返ってきた
「英国でミスプリントは考えられない。百六十五ポンドに間違いないと思う。そんなに効果ならよほどいいものに違いない。取ってみたらどうだ。かんぺきなタンノイの音を日本でまだ誰も聴いた者はないんじゃないか」
という言葉に、「怏怏たる思いをタンノイなら救ってくれるかも」と思い、
オートグラフを取り寄せるきっかけとなったHiFi year bookは、1963年度版だから、当然ステレオになっている。
その時代に、オートグラフは、スタジオ・モニター用として、と明記されていたわけだ。

正直、オートグラフがモニター用スピーカーシステムとして使われた実例があるのか、
なぜHiFi year bookはスタジオ・モニターとしたのか、
はっきりとしたことは──以前からずっと疑問に思ってきたことだが──、あいからわずなにひとつない。

ひとついえることは、オートグラフが登場した1953年においても、
五味先生のもとにオートグラフが届いた1964年においても、
ワイドレンジを志向したスピーカーシステムであることだ。

五味先生が書かれている。
     *
S氏にすすめられ、半信半疑でとったこのタンノイの Guy R. Fountain Autograph ではじめて、英国的教養とアメリカ式レンジの広さの結婚──その調和のまったきステレオ音響というものをわたくしは聴いたと思う。
     *
オートグラフのコーナー・エフェクトを利用したバックロードホーン形式をどう捉えるかは、
人によって多少異なる面があるけれど、私は、ウェストミンスターとのはっきりとした違いがここにあり、
開発当時で、できるかぎりのワイドレンジを狙ったものだと私は思っている。

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