ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その11)
無指向性のスピーカーは部屋の影響を大きく受ける、とか、
設置場所が難しい、とか、そんなことが昔からいわれている。
ほんとうにそうだろうか。
ここでの無指向性スピーカーとは、
ジャーマン・フィジックスのDDD型ドライバーのような無指向性スピーカーではなく、
複数のスピーカーユニットを多方向に取りつけて放射する多指向性のことであり、
多指向性スピーカーの場合、確かに部屋の影響は受けやすい、といえる。
だからといって、真に無指向性、それも直接放射型の無指向性スピーカーを、
そんなふうに最初から捉えてしまうのは、思い込みでしかない。
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットは、実際どうなのか。
これまで聴いてきた経験から断言できるのは、
むしろ一般的なスピーカーシステムよりも、部屋の影響は受け難い。
このことを意外! と受け止めるか、
反対にベンディングウェーヴの動作方式を理解すれば、むしろその通り! となるか。
私は2002年のインターナショナルオーディオショウで、
Unicornの音を聴いた時から、そうではないのか、と感じていた。
タイムロードのブースでは、後の壁から十分な距離をとってのセッティングだったから、
そのことを確かめることはできなかったが、
2008年、菅野先生のリスニングルームでTroubadour 40を聴いたときに、
このことは確信へと変った。
そして、知人宅でTroubadour 40のセッティングをあれこれやって、
その確信は深まっていった。