五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(50CA10単段アンプ・その11の補足)
(その11)でも、別項でも、
武末数馬氏のECC81の八本並列接続のプッシュプルアンプについて触れている。
武末数馬氏が、このアンプをラジオ技術に発表されたのは1981年ごろである。
こういう構成のアンプは、武末数馬氏が最初だと思っていた。
わりと最近までそう思っていたが、
先日、上杉先生の「管球式ステレオアンプ製作80選」の目次を、
インターネットで眺めていたら、
そこに12AU7の八本並列のパワーアンプの記事があるのに気づいた。
「管球式ステレオアンプ製作80選」は古い本で、いま復刻版が入手できる。
手元にないので、12AU7のパワーアンプの記事がいつ発表されたのかははっきりとしないが、
武末数馬氏のアンプよりもずっと前のはずだ。
12AU7はECC82。
武末数馬氏はECC81。
上杉先生のアンプは、初段で位相反転しているようだ。
武末数馬氏のアンプは入力トランスで対応している。
そういう違いはあるが、八本並列というところは同じである。
ECC81、ECC82八本並列プッシュプルアンプも面白いと感じているが、
それ以上に、オーディオの歴史をふり返えると、もっともっと面白いことに気づく。
そんなこと、いまのオーディオ(技術)には、ほとんど関係ない──、
そんなふうに切り捨てることは誰にでもできようが、果たしてそうだろうか。