冗長と情調(その8)
Audio Suiteのモジュールには、二つのグレードが用意されていた。
プレミアム・モジュールとベーシック・モジュールである。
モジュールにも、当然だが型番があって、
プレミアムのアウトプットモジュールはP301、
ラインレベルのインプットモジュールはP200、
フォノ用のインプットモジュールはP100という具合にだ。
型番の最初のPは、premiumを指していて、
ベーシック・モジュールはBがつく。
私が聴いたAudio Suiteは、プレミアム・モジュールである。
ベーシック・モジュールは聴いていない。
なので、プレミアム・モジュールとベーシック・モジュールが、
どれだけ違うのか、知らないので、私がAudio Suiteの音として書くのは、
だからプレミアム・モジュールのAudio Suiteである。
音は聴いていないものの、
ラインレベルのインプットモジュールのベーシック版の写真は見ている。
プレミアム・モジュールと何が大きく違うのかというと、
ベーシック・モジュールにはアンプ回路が省略されている。
このモジュールのパネルには入力セレクターかわりの出力のON/OFFスイッチ、
プリント基板には配線のパターンがあるだけ。
プレミアム・モジュールのP200は当時400,000円だったが、
ベーシック・モジュールの方は、かなり安かったはずだ。
ここでも、(その7)で書いている、オレはわかっている──、
そう自慢したい人は、
Audio Suiteのラインレベルのインプットモジュールは、
プレミアム版よりもベーシック版のほうが音がいい、という。
これを私に言った人は、ベーシック版の音を聴いていないにも、関わらずだ。