グールドの「熱情」
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番には、
「熱情」という通称がついている。
この通称にとらわえてしまうと、演奏の評価を誤ってしまうのかもしれないが、
それでもグレン・グールドの「熱情」は、
グールドによるベートーヴェンの他のピアノ・ソナタほどには際立っているとは、
これまで感じたことはなかった。
「熱情」をそれほど聴くわけではない。
他のピアニストの演奏でも、それほど聴かない。
昨年、TIDALでグールドのコロムビアでのすべての録音がMQA Studioで聴けるようになってから、
すべてのアルバムを聴き直しているところ。
今日は、「熱情」がおさめられているアルバムを聴いていた。
前回、グールドの「熱情」を聴いたのがいつだったのか、
正確に思い出せないほどにひさしぶりのグールドの「熱情」となった。
第二楽章を聴いていて、ハッとした。
こんなに美しかったか、とハッとした。
ピアノの演奏よりも、むしろグールドのハミングの美しさに、ハッとしたものだった。
MQAだからなのだ、と勝手に思っている。