新製品(その19)
マークレビンソンもマッキントッシュも、創業者の名前がつけられたブランドである。
この二社だけでなく、他にも創業者の名前がそのままブランドになった会社はいくつもある。
創業者はいつかは、そのブランドからいなくなる。
会社から去っていくこともあるし、この世から去っていくこともある。
創業者がいなくなれば、そのブランドも変っていく。
そういうものであり、その変化は嘆くことではない。
そうとわかっていても、今回のマークレビンソンのML50、
マッキントッシュのいくつかの製品を見ると、そういうこととは何か違うような気がしてならない。
創業者が去ったことだけによる変化なのだろうか──、と思ってしまう。
投資会社に買収されたことによる変化だけなのだろうか、とも思う。
陳腐なことをいうんだな、と笑われそうだが、
愛の不在だ、としか、いいようがない。
ルコントを再建したベイクウェルには、愛があった。
だからこそ、といえる。
いまマッキントッシュ、マークレビンソンに残っている人たちに、
同じ意味での愛はあるのだろうか。
愛ゆえのパチモン的新製品だとしたら、もうほんとうに終りでしかない。
同時に、ルコントは洋菓子のブランドである。
洋菓子は嗜好品である。
ではオーディオは?
そのあたりのことも考えているわけだが、
ここから先は、ここでのテーマとは大きく離れてきそうなので、割愛する。