FMアコースティックス讚(その3)
FMアコースティックスのアンプを聴く機会は、そう簡単には訪れなかった。
それに、そのころはさほど熱心に聴いてみたい、と思っていたわけでもなかった。
それでもウワサは耳に入ってくる。
けっこういい音みたい、とか、かなりいい、とか。
そんなことがぽつぽつと入ってくるようになった。
と同時にFMアコースティックスの価格も値上りするようになっていった。
これにもウワサがついてきた。
創立者の娘が結婚するから値上げ、とか、
クルーザーを買ったから値上げ、とか。
常識的に、そんなことあるはずがない。
私も最初はそう受けとって笑いながらきいていたけれど、
どうも本当のようだ、という話も聞く。
本当なのかどうかは、わからない。
こんなウワサが流れてきて、実際に価格が高くなる。
それでも買う人がいるわけで、
これまで何度の値上げがなされてきたのか、数えたことはないし、数える気もない。
いえるのは、値下りすることは、まずない、ということと、
これから先もまた値上りする、ということ。
そして、それでも買う人がいる、ということだ。