新製品(マッキントッシュ MCD85・その2)
ステレオサウンドの新製品紹介の記事が大きく変ったのは56号からだ。
カラーページが使われるようにもなり、
カラーページには「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」、
モノクロページには「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」とそれぞれタイトルがつけられている。
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」の扉には、こう書いてあった。
*
あたらしい、すぐれた製品との出会いは、私たちにとって、いつもドラマティックな体験です。心おどろせ、胸はずませて、あたらしい出会いを待ち受け、そして迎えるさまは、とうていマニアでない人びとには理解してもらえないでしょう。
そのマニアの中のマニアともいうべき、本誌筆者の方々に、毎号いちばんあたらしい、いちばん感動的な出会いについて書いていただこうというのが、このあたらしいページです。
やがて月日が経つとともに、それぞれの方々の出会いの歓びの鮮度は色あせていくかもしれません。あるいは、使いこんでいくうちに、日ましにその製品がもたらす歓びは色濃くなっていくかもしれません。
でも、それぞれ筆者自身にとっての、いまの真実は、ここに記されているとおりです。
*
新製品にふれるということは、確かにそういうことだ。
このころと違って、いまは実物にふれる前に、
インターネットで新製品情報を知ることができるようになった。
それぞれのオーディオメーカーのウェブサイトにて新製品の情報が公開される。
海外メーカーの新製品の場合、いつ日本に入ってくるのか、
どんな音がするのか、とあれこれ想像する。
楽しい時間である。
けれど、マッキントッシュのMCD85やMHA200の写真を眺めると、
マッキントッシュという老舗オーディオメーカーの衰退(終焉)の始まりを、
もしかすると見ているのではないか、という気もしてくる。
インターネット普及以前、
海外のオーディオ情報がいまのように誰もが知ることができなかった時代は、
輸入元の判断で日本に輸入されない機種があった。
そのメーカーのブランドイメージを損うという判断からなのが大半だった。
いまはそういう時代ではない。
そういう時代に、マッキントッシュはMCD85やMHA200のようなデザインを出してきた。
なぜ? とおもう。