モノと「モノ」(世代の違い・その5)
いまの時代だったら、18の私はどういう買い方をしただろうか。
当時のSMEの3012-Rのように、これからの自分のオーディオに絶対必要なモノを、
しかもそれが限定で、いま手に入れなければ……、となったときに、どうするだろうか。
あのころと同じ買い方をするしない、ではなく、できるだろうか、と思ってしまう。
どうなのだろう、自信をもっていえないところが残る。
なので、いまの若い世代の人たちに、
買うことも一つの、大きな体験だから、といえるだろうか。
まだまだそういえるジャンルのモノもある。
それでも、そうでなくなったジャンルのモノもある。
オーディオはどうなのか。
どこに住んでいるかによって、違ってこよう。
それでも、明るいことはいえそうにないような気がしてしまう。
世代によっても、違ってこよう。
いやいや、いい店はまだまだある、という人がいたとしよう。
その人がすすめる店は、ほんとうにいい店といえるだろうか。
上の世代の人たちがいう、こういうことは疑ってかかってもいい。
どこかストックホルム症候群的な感じがしてしまう。
そういう人がいる、といえる。
そういう人のいうことを信じない方がいい、と、若い人たちにはいいたくなる。
いまは買うという体験の何かがスポイルされてしまっている時代なのか。
モノを買わなくなった──、
その理由の一つは、そういうところにあるのかもしれない。