Date: 11月 13th, 2019
Cate: 素朴
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素朴な音、素朴な組合せ(その26)

数年前に友人宅に遊びに行った時、テレビで日本のドラマを見ていた。
そこに出てくる男優の一人の口元が、つねに口角が上っているのが、気になった。

辛そうな表情を演じている時でも、口角が上っている。
どんな表情の時でも、そうなのだ。
だからなのか、その男優の演技・表情に違和感を覚えた。

いつのころからか口角を上げよう、みたいなことがいわれ始めた。
ヘの字に曲げてぶすっとしているよりは、いい印象を与えるだろが、
その男優のように、ずーっと口角が上りっ放しでは、もうおかしい、というか、
笑う場面でもないに、つい笑いたくなってくる。

ドラマのスタッフは、誰も何もいわなかったのか。

そういえば、つい先日も口角を上げっ放しの人がいた。
人前で話すこともある仕事をしている人だ。
もう、ずーっと口角が上っている。

話していない時も話している時もそうである。
もう不自然な表情である。
少なくとも私はそう感じていた。

その人は、見た目を重視しているのだろうか。
そういえば「人は見た目が9割」という書籍が売れている、ともきいている。

その人は、鏡の前で口角を上げながら話すことを練習しているのか。
そんなことを思いながら、その人の話を聞いていた。

その25)で、アルカイックスマイルのことを書いた。
アルカイックスマイルとは、辞書には、
《古典の微笑。ギリシャの初期の彫刻に特有の表情。唇の両端がやや上向きになり、微笑みを浮かべたようにみえる》
とある。

唇の両端が上向きになるのだから、口角を上げた表情ではあるが、
上に挙げた二人の男性の表情は、アルカイックスマイルではない。

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