オーディオマニアと取り扱い説明書(その9)
12月に出るステレオサウンドの特集の一つはベストバイである。
マッキントッシュのMA7900はすでに製造中止になっているが、
MCD350は現行製品だから、何人かが点を入れることだろう。
ステレオサウンドの特集で、たとえば総テストだと、
そこでは試聴記とあるように、ステレオサウンドの試聴室で鳴った音について書かれる。
これはこれでいい。
けれど年末のベストバイとなると、ちょっと違ってこなければならないはずだ。
ベストバイである。
ここでは単に音がよいだけではなく、
製品としての安定性とか使いやすさとか、
そういったもろもろのことを含めての判断でのベストバイではないのか。
そして、そこには取り扱い説明書のことも含まれる。
私がベストバイの選者だったら、MCD350の音を仮に気に入っていたとしても、
三つ星をいれることはない。
それはこれまで書いてきていることが理由である。
ベストバイで点(星)を入れる製品すべての取り扱い説明書をチェックするのは、
そんなのは無理だ、とステレオサウンドのベストバイの選者はきっというだろう。
ほんとうに無理なのだろうか。
ベストバイを選出する時期になってから、
ベストバイ候補の機種すへでの取り扱い説明書をチェックするのは時間をかなりとられる。
けれど、ベストバイというのは、一年を通じて接してきたオーディオ機器に、
点を入れる行為である。
ならば最初に接した時に、
ある程度は、その人のなかで今年のベストバイ候補になるのかどうかの判断は、
ついている、と考えられる。
ならばその時点で取り扱い説明書をチェックしておけばいいだけの話だ。
少なくともベストバイで三星を入れるのであれば、
それらの製品だけでもしっかりと取り扱い説明書をチェックしたうえで、
どれだけトラブルに関しても、メーカー側がきちんと考えているのか、
そこまで読み切ってこそのプロのオーディオ評論家なのではないか。