オーディオの楽しみ方(つくる・その41)
自己表現と自己満足。
違うけれど、近くもある。
オーディオは自己表現だ、と声高に叫び、自己満足する。
そんな人がけっこういるのを感じている。
オーディオ機器の自作は、アンプであれスピーカーであれ、
自己表現と自己満足が、
これ以上くっつきようのないくらいに接近してしまうところを内包している。
別項で書いている300Bプッシュプルアンプは、
まさに自己満足のために考えている。
とはいっても、自己表現のためのアンプではない。
別項で書いているように、3月と5月のaudio wednesdayで、
自作の電源コードを使って鳴らした。
3月に使ったのはCDプレーヤー用で、
5月に使ったのはアンプ用で、少し太めである。
この二本の電源コードは、ある人のところで鳴っている。
試してみてください、と貸し出していた。
「手放せない存在になってしまった」と連絡があった。
audio wednesdayで鳴らしているので、ある程度の手応えはあった。
それでも「手放せない存在」といわれると、やっぱり嬉しくなるわけだが、
この嬉しくなるというのは、自己満足なのか、と思ってしまう。
自分のために作り、自分一人で聴いて、いい音が出た──、
というのは、自己満足である。
しかも、それを誰かが聴いて、あまりいい音ではない、という感想が返ってきたら、
完全な自己満足である。
今回の電源コードは、「手放せない存在」といってくれる人がいる。
それでも、自己満足なのか、と思ってしまうところがある。