メリディアン ULTRA DACで、マリア・カラスを聴いた(その1)
別項「私は、マリア・カラス」で、ULTRA DACでマリア・カラスを聴きたい、と書いた。
昨晩のaudio wednesdayで、マリア・カラスの「カルメン」を聴いた。
通常のCDだから、ULTRA DACのフィルターを切り替えながら聴いた。
まずshortで聴いた。
それからlongにして、mediumにした。
どの音をとるのかは、人によって違うだろうし、
聴き方によっては、その日の気分によっても、どれを選択するかは変ってこよう。
マリア・カラスの声、そして歌い方に焦点を、そこだけにあわせて聴くのであれば、
圧倒的にshortがいい。
プロの歌手を目指している人であれば、shortの音をとるはずだ。
そう思えるほど、よくわかる。
よくわかるだけに、どうしても耳の焦点は、マリア・カラスのみにあわせてしまう。
マリア・カラスの独唱のみならば、これでもいい、と思う。
でも「カルメン」はいうまでもなくオペラである。
オペラという舞台を聴きたい、と思うのであれば、shortの音はマリア・カラスに近すぎる、と感じる。
もう少し引いて距離をとりたい、と思わなくもない。
longにすれば、その傾向になる。
けれど、shortを聴いたあとだけに、よけいにその距離がやや取りすぎたようにも感じる。
longの音だけ聴いていれば、これで満足しただろうに、なまじshortの音を聴いているだけに、
距離とディテールの再現が反比例するかのようにも受けとれる。
mediumの音が、昨晩の音では、「カルメン」というオペラが楽しめる音だった。
マリア・カラス一人だけのオペラではない。
ドン・ホセ役のニコライ・ゲッダ、エスカミーリョのロベール・マサール、
ミカエラのアンドレア・ギオーなどがいて、コーラスも加わる。
そういう舞台を楽しみたいのであれば、mediumの距離感が、私にはちょうどいい。
もちろん、これはあくまでも、
マリア・カラスの「カルメン」を、しかも喫茶茶会記のシステムで鳴らして、の話である。
他の録音、他のシステムでは、その選択も変ってこよう。