タンノイはいぶし銀か(その3)
ステレオサウンド 207号では、和田博巳氏がArdenの音をいぶし銀と評されている。
見出しにも、いぶし銀が取り上げられている。
私は(その1)で、フロントショートホーンをもつタンノイの音は、
決していぶし銀と感じてないし、烏の濡れ羽色に近い音色と感じている、とした。
別項にコメントしてくださった方と同意見であり、
その方から(その1)にfacebookでコメントがあり、オートグラフを聴かれていることがわかった。
そうだろうな、と強く思う。
フロントショートホーン付きのタンノイの音を聴いたことのある人ならば、
それもいぶし銀とかいう、無用なバイアスなしで聴いている人ならばこその音の印象である。
ならばフロントショートホーンなしのタンノイは、いぶし銀なのか。
菅野先生がスイングジャーナルの1969年12月号で、IIILZ MKIIについて書かれている。
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そこで、英国系のスピーカーには、どうしてもクラシック音楽のイメージが強いとされてきた理由もなんとなくわかるのではあるが、今や、英国も、ビートルズを生み、ミニスカートをつくる現代国家であるし、特に輸出によってお金を嫁ぐことに熱心なことは先頃の英国フェアでもよく知っておられる通りである。英国がその古い伝統と、高度な産業技術を、クラフトマンシップを生かしてつくり上げた製品は、筋金入りの名品が多く、しかもお客の望みを十分に叶えてくれるサービス精神にもとんでいる。タンノイはいぶし銀のような艶をもつスピーカーだと評されていたが、このIIILZのニュータイプのIIILZ MKIIは、さらに明るさが加ってきた。重厚明媚を兼備えた憎い音を出す。これでジャズを聞くと、実に新鮮な迫力に満ちた音だ。MPSのジャズのように、最近はジャズの音も多様性をもってきた。アメリカ録音に馴れていた耳には大変新鮮な音のするヨーロッパ録音ではある。再生系も、英国スピーカーはクラシック向と決めこまないでチャンスがあったら耳を傾けてみてほしい。
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いぶし銀、と確かにあるが、
《いぶし銀のような艶をもつスピーカーだと評されていた》と含みをもたせてある。
評してきた、ではない。
「世界のオーディオ」のタンノイ号にざっと目を通したけれど、
オーディオ評論家の誰かが、いぶし銀と書いているのは見つけられなかった。