Date: 7月 30th, 2018
Cate: TANNOY
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タンノイはいぶし銀か(その2)

1979年のステレオサウンド弁冊「世界のオーディオ」タンノイ号、
井上先生の「私のタンノイ観」で書かれていることが、実に興味深い。
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とくに、モニター15の初期のモデルは、ウーファーコーンの中央のダストキャップが麻をメッシュ織りとしたような材料でつくられており、ダーク・グレイのフレーム、同じくダーク・ローズに塗装された磁気回路のカバーと絶妙なバランスを示し、いかにも格調が高い、いぶし銀のような音が出そうな雰囲気をもち、多くのファンに嘆息をつかせたものである。
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モニターシルバーと呼ばれていた時代のタンノイの同軸型ユニット。
そういえば、と、
古いイギリスのオーディオメーカーのスピーカーユニットのフレームを思い浮べてほしい。

ヴァイタヴォックスのAK155、156、グッドマンのAXIOM 301といったユニットのフレームを、
思い浮べられない人は、Googleで画像検索してみてほしい。

井上先生は、タンノイからいぶし銀のような音がしていた、とは書かれていない。
あくまでも、《いぶし銀のような音が出そうな雰囲気》とあるだけだ。

確証はもてないが、いぶし銀という表現が使われるようになったのは、
意外にもイギリスのユニットのフレームの仕上げから来ているようである。

「私のタンノイ観」の最後に井上先生は、書かれている。
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 つねづね、何らかのかたちで、タンノイのユニットやシステムと私は、かかわりあいをもってはいるのだが、不思議なことにメインスピーカーの座にタンノイを置いたことはない。タンノイのアコースティック蓄音器を想わせる音は幼い頃の郷愁をくすぐり、しっとりと艶やかに鳴る弦の息づかいに魅せられはするのだが、もう少し枯れた年代になってからの楽しみに残して置きたい心情である。暫くの間、貸出し中のコーナー・ヨークや、仕事部犀でコードもつないでないIIILZのオリジナルシステムも、いずれは、その本来の音を聴かしてくれるだろうと考えるこの頃である。
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《しっとりと艶やかに鳴る弦の息づかい》とある。
この表現を、いぶし銀に結びつけるのか、
烏の濡れ羽色を想像するのか。

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