大口径フルレンジユニットの音(その9)
グッドマンのAXIOM 402を鳴らすパワーアンプとして、
まっさきに考えたのがPASSのAleph 3だった。
audio wednesdayの常連のKさんのラインナップに、このアンプがあるのは知っていた。
他にもいくつかのアンプがあるのは知っていたけれど、
ここではAleph 3以外の選択肢は、私の頭のなかにはなかった。
Alephシリーズのパワーアンプは、
設計者のネルソン・パス独自の考えによる回路だということは知られている。
ここで、そのことを詳しく説明するつもりはない。
それに、その理論がほんとうなのかどうかも、なかなか判断しにくい。
それでも信念をもって設計されたアンプである。
通常のプッシュプル回路が上下対称なのに、
Alephシリーズの回路は上下非対称で、
プラス方向の出力がマイナス側よりもわずかに高い、という。
そのことがどう音に影響するのか、正確にわかるものではない。
ただコーン型スピーカーを真横からみればわかるように、前後対称に、
均等の力がかかっている(必要)とは考えにくい。
特にダブルコーンは、シングルコーンのユニットよりも、
振動板が前に動くときと後に動くときのエネルギーの差は大きいのではないか。
ならばダブルコーンのフルレンジに、Alephのような出力傾向をもつアンプは、
理屈としても合うのではないか──、
実をいうと、最初はそんなことまったく考えてなかった。
すべて後付けである。
ただなんとなくAleph 3がよさそうだ、と思っただけであり、
結果としてうまくいったから、そんなことを考えて書いたみた。