Date: 1月 28th, 2018
Cate: 菅野沖彦
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「菅野録音の神髄」(その8)

オーディオラボでの録音で菅野先生が使われていたテープデッキは、
スカリーの280Bである。

オーディオラボのレコードジャケット裏には、使用録音器材についての記載があった。
そこにもスカリーは書いてあったし、
ステレオサウンド 41号の特集「世界の一流品」で、菅野先生は280Bについて書かれている。

38号、60号で菅野先生のリスニングルームが載っている。
そのどちらにも280Bはある。

スカリーのテープデッキについては、菅野先生から聞いていることがあった。
スカリーのデッキで録音したテープは、
スカリーのデッキで再生しないと冴えない音になってしまうそうだ。

他社製のテープデッキでも、多少そういうところはあるが、
スカリーは特に顕著で、他社のテープデッキで再生したら、がっかりする、らしい。

そのことを江崎友淑氏も、オーディオラボの復刻にあたっての苦労話のひとつとして話された。
まずマスターテープを探すことから始まった。
保管場所は判明したものの、
今度はそこに辿りつくまでがほんとうに苦労した、とのこと。

そのへんの詳細は、3月発売のステレオサウンドの記事でも紹介されるのではないだろうか。
やっと手にしたマスターテープであったものの、聴いてみると、冴えない音で、
これでは復刻は無理だ、と思わざるをえなかった、と。

そのことを菅野先生に話したところ、
「それはそうだよ、スカリーのデッキで録音したのだから、スカリーで再生しないと」
といわれ、それからスカリーのテープデッキ探しが始まる。

日本のレコード会社ではスチューダーやアンペックスの方がよく使われていた。
スカリーは、この二社ほどは有名な存在ではない。
最終的にはキングレコードの倉庫に眠っていた、とのこと。

長らく使われていなかったスカリーの整備に数ヵ月。
そうやって再生できたマスターテープの音は、
先週録音したばかり、といわれても、そう信じてしまうくらいに、新鮮な音が鳴ってきた、と。

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