ケーブル考(銀線のこと・その13)
Silver Signature 25は、どんな音だったのか。
私は聴く機会がなかった。
ステレオサウンドには、
108号で柳沢功力氏が新製品紹介の記事を書かれている。
109号、Components of the year賞に選ばれている。
ここでの山中先生の発言が、個人的にはもっとも興味深いし、
音の片鱗のようなものが伝わってくる。
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山中 このスピーカーを聴いたときに、とても驚きました。
どこにも空白がないというくらい、物凄く密度の濃い音で、中身が非常に詰まっている。しかも、ダイレクトラジエーターのスピーカーで、音圧レベルがかなり高くとれるんですね。
とくに中高域で、人の声を張り上げるところなど、非常に厳しいソースを鳴らしても、いままで考えられないようなクリアーさで鳴ってしまう。
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厳しいソースを、いままで考えられないようなクリアーさで鳴らしてくれるのは、
徹底した銀を使ったことのメリットなのだろうか。
そうとも読めるし、まったく関係ないことともいえるかもしれないが、
私は、銀の徹底使用のメリットだ、と思って読む。
さらに山中先生は、こう発言されている。
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山中 とにかく、このスピーカーはコンパクトサイズでありながら、音はビッグスピーカーのそれですよ。ワーグナーがちゃんと聴けるんですから。
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《ワーグナーがちゃんと聴ける》、
このひとことだけで、Silver Signature 25が欲しくなってしまう。