Date: 10月 14th, 2017
Cate: ケーブル
Tags:

ケーブル考(銀線のこと・その14)

銀をスピーカーシステム内の信号経路のほとんどに使ったからといって、
ただそれだけで素晴らしいスピーカーシステムができあがるわけではないことは、
承知している──、それでも……、といいたくなるところが銀の魅力かもしれない。

YL音響にDG18000Yというトゥイーターがあった。
同社のドライバーの型番はDのあとに数字が並ぶ。
DG18000Yのシリーズには、D18000Yもあった。

Gがつくかつかないのかの違いは、ダイアフラムにある。
DG18000Yは、18mmφの純銀箔のダイアフラムである。
ボイスコイルも当然銀線である。

コンプレッションドライバーのダイアフラムの材質は、
金属系ではアルミが古くから一般的で、チタンやベリリウムなどが使われる。

銀をダイアフラムにしたユニット(ドライバーに限らず)は、あっただろうか。
銀は導体抵抗は低くても、チタンやベリリウムと比較すれば重い金属である。

軽くて剛性の高い材質が使われるのに、
YL音響はあえて、やや重い銀を使っている。
YL音響によれば、銀にした場合、他の材質に比べて約1.5dB程度の感度の低下が生じる、とのこと。

それでもYL音響は、銀を採用している。
DG18000Yは1990年代後半、一本250,000円だった。
D18000Yは175,000円だった。

ダイアフラムを銀にするメリットは、どのあたりにあるのだろうか。
答はDG18000YとD18000Yをじっくり聴いてみれば、ある程度はつかめるだろうが、
もうそんな機会はやってこない。

思うに、銀にはそれだけのオーディオ的魅力がある、ということなのだろう。
DG18000Yの開発者も、そのひとりなのだろう。
銀の魅力にとらわれてしまったのかもしれない。

もしかすると市販するつもりはなく、
ダイアフラムを銀にしたドライバーを試作したのかもしれない。
音を聴いて、製品化しただけなのかも……、という想像もできる。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]