五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その15)
ここで書きたいのは、
先日別項『オーディオと「ネットワーク」(post-truth・その2)』で書いたこととかぶってくる。
何を求めて、真空管アンプを自作するのか。
結果という、いわば答だけを求めての自作をやる人が増えているのか。
少なくとも、そういう人は、伊藤先生がいわれたように最初から300Bで、ということになる。
最良の結果(答)のみが欲しいのであれば、
ラジオ球などのプッシュプルアンプを最初に、
それからステップアップしていく過程など、時間と手間と、費用の無駄ということになるだろう。
その過程をいやというほと経験しているからこそ、
300Bの優秀さ、それだけでなく有難味が心底わかるというものである。
昔はお金を出せば300Bが手に入るというわけではなかった。
ウェスターン・エレクトリックの製品、部品を手に入れたくとも、
入手困難というか無理という時代があった。
お金さえ出せば……、というふうになってきたのは、ここ二十年くらいではなかろうか。
なぜ自作をするのか。
その問いが理由といえよう。
問いを求めての行為だと、私はおもう。
もちろんそこには音という結果(答)もついてくる。
ついてくるからこそ、見極めてほしい。