世代とオーディオ(昭和は遠くになりにけり……か・その5)
物分りのいい人ぶっているのは知人だけではない。
物分りのよさをアピールしている人は、増えている、と感じている。
そんな人が増えていくのにつれて、真意が伝わりにくくなってきている、とも感じている。
もちろん昔から伝わらない人にはどんなことをしても伝わらないところがあった。
そういうのとは違う。
あきらかに真意が伝わり難くなっている。
少なくともオーディオを趣味としたり仕事としたりしている人だけに限っては、
確かにそうだといえる。
なぜなのかはよくわからないが、
物分りのよさをアピールしてくる人が増えてきていることと比例しているようだ。
そんな人たちがオーディオの世界でも増えてきた。
彼らは若い人たち、オーディオに感心を持ち始めた人たちに何ができるのかといえば、
何もできない、と思う。
そういう人たちは、ほんとうのところがわかっていない人が多い。
インターネットの普及によって、知識だけはぶくぶくと身につけている。
その知識が、人の体でいえば骨格となり筋肉となっていればいいのだが、
贅肉としかなっていない人が、これまた多いように感じる。
実際の体形であれば、ぶくぶくと太ってきたことは鏡をみればすぐにわかる。
けれどオーディオのことに関してはそうはいかない。
ただただ知識だけを得ても体系化できずに、ぶくぶくと太っていくばかり。
そんな人は自身も鍛えられないし、誰かを鍛えることもできない。
私は、こちらから若い人のところに降りていくことはしない。
けれど、鍛えられたいと望む若い人を鍛えることはできるし、
そのことに出し惜しみをするつもりは毛頭ない。