いま、そしてこれから語るべきこと(その7)
ステレオサウンドで連載されている菅野先生の「レコード演奏家訪問」、
この企画の前身にあたる「ベストオーディオファイル」の対談のまとめを担当していたときがある。
どの号に載っているのかは忘れてしまったが、交通事故に遭われた方との菅野先生の対談は、
いまオーディオの効能性を考えるにあたって、私の中では継がっている。
その方はひどい交通事故に遭われて、医者からも「そんなに長くない」と言われ、
実際、後遺症がひどくて、風で髪の毛がなびいただけでも、全身に強い痛みが走り、
ものすごい強い痛み止めの薬を(医者からは一日の量が決められていたにもかかわらず)、
家中、それこそトイレの中にまで痛み止めの薬を置いて、
制限量などまったく無視して服用しなければ、がまんできないほどの痛みに悩まされていた。
そういう日々をおくっていたら、ある日、
ある医者に「最近はCDという便利なものが出ていて、比較的簡単にいい音がきけるから」と
オーディオをすすめられて、毎日毎日モーツァルトのオペラを中心に、
CDプレーヤーのリピート機能を使って、一日中聴く生活をはじめられた。
モーツァルトを聴き続けているうちに、知らず知らずのうちに薬を飲む量が減ってきて、
菅野先生が訪問されたときには、ほとんど服用しなくてもいいくらいに回復されていた。
ステレオサウンドの80号前後に載っているはず。
手元にその号をお持ちなら、ぜひ読みなおしていただきたい。
オーディオの持つ効能性だと、私は思っている。