ステレオサウンドについて(その110)
60号はステレオサウンド創刊15周年号であり、
特集「サウンド・オブ・アメリカ」も創刊15周年記念特集の第一弾である。
この特集は、いつものステレオサウンドの試聴室ではなく、
大正末期に建築されたという洋館の大広間(約54畳)で行われている。
古い建物だからエレベーターはなく、大広間は二階。
搬入作業はさぞ大変だったと思う。
搬入作業の様子も写真に撮られている。
この大広間は広いだけでなく、それに見合った天井の高さ(3.5m)がある。
アルテックのA4が置かれても余裕がある。
スピーカーも大型のモノばかりが集められている。
アンプもそれに見合ったモノとして、
コントロールアンプはマッキントッシュのC29とC32、
マークレビンソンのLNP2とML7、
それにマランツのModel 7、
パワーアンプはマッキントッシュのMC2255とMC2500、
マークレビンソンのML2(4台)、ML3、マランツのModel 9、
ハーマンカードンのCitation XX、スレッショルドSTASIS 1とSTASIS 2、
マイケルソン&オースチンのTVA1、アキュフェーズM100である。
アナログプレーヤーはトーレンスのReferenceである。
スピーカー、アンプ、プレーヤーの総重量は4.6トンとのこと。
準備も大変だっただろうが、片付けも大変だったはずだ。
──こうやって書いていくと、創刊15周年記念にふさわしい企画(特集)と思える。
私も、当時そう思って読んだ。
けれど編集部の大変さは、読み手には関係のないことである。
よくやったな、と思っても、それ以上のものは伝わってきにくい内容だった。
面白いはずだ……、と思い込もうとしていた。
これだけのことをやっているのだから……、と。
でも、何度読み返しても、つまらないといわないが、
そこに熱さがあったかといえば、私に関してはあまり伝わってこなかったというしかない。