オーディオ機器を選ぶということ(結婚にあてはめれば……・その1)
以前、菅野先生にいわれたことを思いだす。
「結婚してもいい、とおもっている相手とは結婚するな。
結婚したい、とおもっている相手としなさい」
そういうことをいわれた。
結婚してもいいと結婚したいは、根本のところではっきりと違う。
確かにその通りだ、と思って聞いていた。
オーディオ機器を選ぶことも、
スピーカー選びは、いっそう同じことがあてはまる、とも思っていた。
それからほぼ30年。
したいとしてもいいの違いのことを思い出しながらも、
実のところ、最良の伴侶は、したいとおもう人(スピーカー)ではなく、
してもいいとおもう人(スピーカー)の中にいてくれているかもしれない──、
そう考えるようにもなってきた。
したいという気持には思いこみも多分に含まれてもいよう。
結婚したいとおもっている人(スピーカー)と成就できれば、幸せであろう。
結婚生活は続く。
一ヵ月や二ヵ月といった短い時間ではなく、
もっともっもと永い時間を共にすごすうちに、
考えもしない、思いもしないことになることだってあろう。そうならないこともある。
どうなるのかなんてわからない、とも思うようになってきて、
意外にも、してもいいとおもっている相手との方がうまくいくことだって、
充分あり得るだろうとも。
正直、はっりきとしたことはわからない。
どちらがいいとか思っているわけでもない。
どちらであれ自分の元に来てくれる相手と生活を続けていく──、
ということぐらいしかいえない。