名器、その解釈(その8)
指揮者にかぎらなくてもいい、ピアニストでもヴァイオリニストでもいい。
大ピアニストと名ピアニスト、大ヴァイオリニストと名ヴァイオリニスト。
どちらが優れた演奏家ということは、あまり関係ないように感じている。
それでもなお名指揮者、名ピアニストとはいえても、
大指揮者、大ピアニストと呼ぶことが、ちょっとためらわれる指揮者、ピアニストがいる。
その違いが、わかっているようでいて、よくわかっていない。
ただただ感覚的に大と名を使い分けているような気もしている。
大指揮者と呼ばれる人の演奏が常に名演とは限らない。
それは名指揮者と呼ばれている人の演奏にも同じことがいえる。
名演のときもあれば、さほどでもないときもある。
それでも名演とはいっても、大指揮者による名演を、大演とは呼ばない。
大名演とはいう。
このことから考えれば、大指揮者は大名指揮者なのか。
そんなことも思いつくわけだが、大指揮者は、やはり大指揮者である。
ここに深く関係しているのが、「スケール」なのだろう。
となると、大指揮者は必ずしも名指揮者とは限らないのか。
そんなこともまた考えてしまう。
オーディオはどうだろうか。
名器もあれば、大器と呼ばれるモノもある。
それに大器の場合、未完の大器という使われ方もある。