オーディオにおけるジャーナリズム(グラモフォン誌について)
つい最近のことらしいが、英グラモフォン誌のサイトで、
1923年の創刊号からすべてのバックナンバーを読めるようになった。
それも、ただページをスキャンした画像をそのまま載せるだけでなく、
当然のことだが、検索もできる。
素晴らしいことだ。
1923年といえば約90年前。
そういう時代にグラモフォン誌に記事・評論を書いていた人たちは、
まさかこういう時代がくるとは、まったく想像できなかったことだろう。
イギリス国内だけで読まれるのではなく、インターネットに接続できる国・環境であれば、
どこからでも読むことができる。
グラモフォン誌の創刊号がどれだけ発売されていたのかは知らない。
発行部数はそれほど多くはなかったはず。
そのころグラモフォン誌を読んでいた人たちの数と、
いまインターネットを通して読んでいる人の数は、いったいどれだけ違うのか。
1923年の創刊号からいままで発行されてきたグラモフォン誌を集めると、どれだけの量になるのか。
いまではiPadとネット環境があれば、手で持てるサイズ・重さに、収まってしまう、ともいえる。
探したい記事も、記憶に頼ることなく、検索機能で簡単に、確実に見つかる。
当時の筆者・編集者の人たちにとっては非日常であり、夢のような時代に、
われわれは生きている、手にしている。
グラモフォン誌が素晴らしいのは、ここにあると思う。
当時の夢物語・非日常を、きちんと日常にしてくれたことだ。
そして、なぜ日本では……と思ってしまう。