ACの極性に関すること(その4)
ACの極性をかえることで音が変化するのはいまや常識である。
ACの極性合せはどうやるのかについては、(その2)で書いている。
アース電位をデジタルテスターで測る。
このときすべての接続をはずしておく必要がある。
他の機器とケーブルでつながっていてはだめである。
そうやってアース電位を測る。
コントロールアンプが、仮に5Vと10Vだったとする。
通常であれば5Vの方を、ACの極性が合っているとする。
けれどパワーアンプのアース電位が12Vと20Vだったとする。
こちらは12Vが合っているとなる。
コントロールアンプは5V、パワーアンプは12Vだとアースの電位差は7Vということになる。
ここでコントロールアンプのACの極性をあえて反対にする。
つまり10Vにすることで、パワーアンプとのアースの電位差は2Vと小さくなる。
こういう考え方もできるのではないか。
だとしたら、どちらを選択すればいいのか。
これは、聴いて判断するしかない。
ACの極性合せを聴感で行う場合、
注意点としては音の入口側からやっていくことである。
CDプレーヤーをまずやり、次にコントロールアンプ、パワーアンプとやっていく。
ACの極性があえば、音場が拡がる。
音楽が演奏される場が、どんなイメージで鳴ってくるか。
たとえば狭い兎小屋で演奏しているかのような窮屈な鳴り方なのか、
それともホールで演奏しているように響いてくれるのか。
別項で書いたマークレビンソンのLNP2のゲイン切り替えの音の違いと、
基本的には同じともいえる。
他にもチェックポイントはあるけれど、まずは音楽が演奏される場としての音場であり、
つまりは聴感上のS/N比をあげることである。
そうやってシステム全体のACの極性を合せた上で、
個々のオーディオ機器の極性がどうなっているのかをチェックしてみることである。
単体で測ったアース電位が低い方がいいのか、
それとも接続する機器同士のアース電位差が小さい方がいいのかははっきりする。
まれにではあるが、聴感で合せたACの極性が、
テスターで測って合せた極性で、すべて逆の場合がないわけではない。
これについては、ステレオサウンド 57号で、井上先生が解説されている。