ハンバーガーとアメリカとオーディオと(その1)
アメリカのテレビ番組に”THE NEXT GREAT BURGER“というのがある。
「グレイト・ハンバーガー ─史上最高の激うまバトル─という邦題がついている。
タイトルからすぐに想像がつくように三人の料理人が登場し、
自慢のハンバーガーを作り、うち二人が予算を勝ち抜き決勝で競い合う、というものだ。
20分ちょっとの番組で、映画や海外ドラマのように重たいものではなく、
軽い内容のものが見たくて、たまたま見つけた番組だった。
すべてのエピソードを見終ったわけではないが、
見ていてすぐに感じたのは、ハンバーガーは、アメリカを象徴する料理だということだった。
アメリカに行ったことのない者の感じ方であることはことわっておく。
アメリカにもさまざまな料理があるのは知っているけれど、
アメリカと聞いて真っ先に思い浮ぶ料理は、
“THE NEXT GREAT BURGER”を見た今では、「ハンバーガーだろ!!」となってしまう。
それほど、ここに登場するハンバーガーはすごい。
いったいどれだけの具材をはさむのだろうか、と思う。
それだけハンバーガーの厚みは増す。
分厚い(ほんとうに分厚い)ハンバーガーを、彼らはどうやって食べるのか。
お上品にナイフとフォークを使って、高級料理のように食べるのか。
そんなことはない。
両手で持ち、そのまま口に運び、齧りつく。
手で押えているといっても、厚みはかなりのものであるのに、
その厚みに必要な分だけ口を開けて食らいついている。
あれが口の中に入るのか、とまず思う。
上品ぶるわけではないが、あの厚みのものに齧りつくことは私には無理だ。
多くの人が無理だと思う。
そして、この番組に登場する多くの(すべてではない)ハンバーガーは、
屋上屋を重ねる、といいたくなる面を持っている。
味を追求しての厚みであることは理解できる。
それでも屋上屋を重ねるという感覚がどうしてもつきまとう。
同時に、いまのオーディオもこれに近い、という同じ面を持っている、とも思ってしまう。