Digital Integration(本とiPhoneと……・その1)
その本のことは知っていた。
電車に乗っていると、さまざまな広告が目に入る。
つい最近まで、その本の広告が貼ってあった。
読んだ人の短い感想がいくつかあるタイプの広告だった。
この手の広告はいつから始まったのだろうか。
本の広告では、よく見かけるものだ。
中にはうさんくさい感想ばかりがずらずら書いてある広告もけっこう多い。
でも、その本は、その手の本ではなかったことは、広告から伝わってきていた。
機会があれば……、と思っていたら、
少し忘れかけていた。
そんなところに、その本をすすめられた。
短いメッセージで、その本のタイトルは書かれていなかったけれど、
すぐにその本のことだとわかった。
この歳になっても、まだきっかけが欲しかったのか、と思い、
そのメッセージに返事を出した。
明日、その本を買いに行く。
何も紙の本にこだわらなければ、電子書籍化されているからすぐに読もうと思えば読める。
実際、さわりの部分はインターネットで読んだ。
読みながら、なぜ電車で広告を見て何かを感じたときに、そのままにしていたのだろうか。
昔はiPhoneがなかった。
いまはジーンズのポケットには必ずiPhoneを入れているから、
iPhoneからでもさわりの部分を読むことはできたわけだ。
それをしなかった。
スティーブ・ジョブズが言っていた。
コンピューターは個人の道具ではない、と。
個人と個人をつなぐための道具である、と。
iPhoneこそ、まさに人と人をつなぐ道具であり、
持っているだけでは……、と改めて思っている。