羽二重(HUBTAE)とオーディオ(その13)
人間には視覚と触覚の二感しかない──、
このことを念頭において、
ステレオサウンドに以前掲載されていた菅野沖彦・保柳健、二氏の対談を読み返すと、
ここにも出て来ていたのか、といまごろ気づくことがある。
47号(つまり連載一回目)に、それは出てくる。
マイクロフォンの話題が出た後で、菅野先生が述べられている。
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菅野 マイクロフォンというのは、ある程度のものであれば、あとは使い方で変化させられます。これは自分の触覚器官の代行ですからね。
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マイクロフォンに耳にたとえられるし、耳の延長ともいわれることが多い。
ならば聴覚器官の代行となるのに、菅野先生は「触覚器官」といわれている。
これが、のちの音触につながっていくのだろう。