ステレオサウンドについて(その2)
「ステレオのすべて」を選ばなかった理由は、自分でもはっきりとしていない。
最後まで迷っていた。
そうやって選んだステレオサウンド 41号と別冊の二冊を、
冬休みの二週間、朝から夜までずっと読んでいた。
記事を読み、広告も読み、また最初から読みなおす。
このときの私には、オーディオに関する知識はほとんどなかった。
「五味オーディオ教室」を読んで得たものだけだった。
具体的な製品名やメーカー名に関しても、
「五味オーディオ教室」に登場してくるモノは知っていても、
それ以外の多くのモノについては何もしらないに等しかったし、
オーディオ評論家に関しても、何も知らなかった、といえた。
だからステレオサウンドか「ステレオのすべて」かで迷ったときに、
誌面に登場するオーディオ評論家の名前は何の参考にもならなかった。
本を書店に手に取り、そこから感じるものを選んだ。
こう書いていくと、「五味オーディオ教室」で出発したのだから、
ステレオサウンドを選ぶのは当然と思われる人もいるだろうが、
このころのステレオサウンドには五味先生は登場されていなかった。
手にした二冊のステレオサウンドで私が、より熱心に読んでいたのは、
「コンポーネントステレオの世界 ’77」のほうだった。